市街化調整区域における既存宅地制度の意味とは?確認方法も解説
不動産の購入を検討する際、その不動産が市街化区域か市街化調整区域のどちらかにあるかで建物を建てられるかどうかが決まります。
市街化調整区域内の場合、一般的に建物の建築は許されていないからです。
しかし例外的に一定の条件を満たしていれば、開発や建築が認められる既存宅地制度がありました。
そこで今回は、既存宅地制度の概要と確認方法について解説します。
市街化調整区域における既存宅地制度の意味
市街化調整区域は、市街化を抑制する区域として指定されており、建築について厳しい規制が設けられています。
建築できるケースは、農業漁業要建築物を建てる場合と、図書館や公民館など住民にとって必要なものである場合などです。
農林漁業者以外の個人が市街化調整区域内で新築住宅の建築や、中古住宅の増築・改築をする場合は、都道府県の許可が必要です。
なお、過去には既存宅地制度と呼ばれる制度がありました。
制度の概要は、一定要件を満たす宅地については建築許可を受けなくても、建築物の新築・改築などを一定の範囲内で認めるというものです。
以下の要件をすべて満たしている必要があります。
●市街化区域に隣接している地域の土地である
●50戸以上の建築物が建ち並んでいる土地である
●市街化調整区域に指定(線引き)される前から宅地とされていた土地である
●上記に関する都道府県知事の確認を受けている
2001(平成13)年に都市計画法が改正・施行されたことにより、既存宅地制度は5年間の経過措置を経たのちに廃止となりました。
しかし、住宅の増築・改築ができなくなってしまう世帯が出てくるため、現在は各都道府県で救済措置として独自の制度が設けられています。
したがって、廃止された現在でも許可が下りれば建築が可能です。
既存宅地制度の土地かどうかを確認する方法
既存宅地制度の土地かどうかは、市街化調整区域に指定(線引き)される前から宅地として利用されていたかどうかが重要なポイントです。
主な確認方法は、以下の3つが挙げられます。
●土地の全部事項証明書
●固定資産税課税台帳の写し
●航空写真に基づき作成された図面
なお、線引きの日は自治体によって異なるため、別途ご確認ください。
そのほか条件によって取り扱いが異なるケースがあるので、詳細は市役所の管轄部署に問い合わせてみると良いでしょう。